「カタログに航続53kmと書いてあったのに、実際は40kmくらいで電欠しそうになった」——電動バイクでよくある不満です。結論から言うと、電動バイクのカタログ航続は”ベストケースの数値”で、実走はその7〜8割が現実。ここを知らずに買うと「思ったより走らない」と後悔します。
この記事では、eモビナビ編集部がメーカーの測定条件と実走レビューをもとに、カタログ値と実走が乖離する理由、そして買う前に正しく航続を見積もる方法を正直に解説します。
※数値は2026年7月時点のメーカー公式カタログ値と公開されている実走レビューに基づきます。実走は条件で大きく変わるため目安としてご覧ください。
結論:カタログ航続 ×0.7〜0.8 が実用値
先に使える結論を出します。電動バイクを選ぶときは、カタログ航続に0.7〜0.8を掛けた数字を「実際に安心して走れる距離」と考えてください。
| モデル | カタログ航続 | 実用の目安(×0.75) |
|---|---|---|
| ホンダ ICON e: | 81km | 約60km |
| ホンダ EM1 e: | 53km | 約40km |
| ヤマハ E-Vino | 32km | 約24km |
たとえばEM1 e:はカタログ53kmですが、体重83kgの筆者による実走レビューでは40km前後という報告が定説になっています。通勤で使うなら、この「実用の目安」で往復距離が足りるかを判断するのが安全です。
なぜカタログ値と実走が違うのか

理由1:測定が「30km/h定地走行テスト値」だから
各社のカタログ航続は、ほとんどが30km/hの一定速度で平坦路を走り続けたときの数値(自社測定)です。国際基準のWMTCモードのような、加減速や登坂を含む条件ではありません。
現実の走行では、信号での発進・停止の繰り返し、坂道、向かい風などがあり、そのたびに電力を多く消費します。だからカタログ値より短くなるのが当たり前なのです。
理由2:ライダーの体重で変わる
電動バイクはライダーの体重が航続に直結します。カタログ測定は軽量ライダー基準のことが多く、体重が重いほど航続は短くなります。二人分の荷物を積むような使い方ならさらに落ちます。
理由3:気温(特に冬)で落ちる
リチウムイオンバッテリーは低温に弱く、冬場は本来の性能を出し切れず航続が短くなります。夏に40km走れたモデルが、真冬は30km台前半まで落ちることも。冬のバッテリー対策はバッテリーの冬の劣化と保管方法で詳しく解説しています。
理由4:走行モードとバッテリー劣化
パワーモードで走れば航続は減り、ECONモードなら伸びます。さらにバッテリーは使うほど劣化するため、新車時に40km走れても、数年後には同じ充電で走れる距離が短くなっていきます。
航続で失敗しないためのチェックリスト
電動バイクを選ぶとき、航続まわりで確認すべきは次の5点です。
- 往復距離 < カタログ×0.7 になっているか(余裕を持たせる)
- 冬でも足りるか(さらに1〜2割落ちる前提で計算)
- 充電のしやすさ(着脱式バッテリーなら集合住宅でも室内充電できる)
- 充電時間(毎日使うなら夜間に充電が終わるモデルを)
- 数年後の劣化(新車の実用値ギリギリだと、劣化後に足りなくなる)
「カタログ航続がちょうど通勤距離と同じ」モデルは、実走・冬・劣化を考えると確実に足りなくなるので避けましょう。
よくある質問
Q. カタログ航続の何割で考えればいい?
A. 実用値はカタログ×0.7〜0.8が目安です。冬や重い荷物、坂道が多い環境ならさらに低く、×0.6〜0.7で見積もると安心です。
Q. 電欠したらどうなりますか?
A. モーターが止まって走行できなくなります。電動バイクは重いので押して歩くのも大変です。実用値に余裕を持たせ、こまめに充電するのが基本です。
Q. 航続を伸ばすコツはありますか?
A. ECONモードを使う、急加速を避ける、適正なタイヤ空気圧を保つ(空気圧不足は航続を縮めます→空気入れ・タイヤメンテ)、冬はバッテリーを冷やさない、が効果的です。
Q. 長距離を走りたいなら?
A. 原付一種の電動バイクは近距離向きです。長い距離を走るなら、カタログ81kmのICON e:のような航続の長いモデルを選ぶか、着脱式バッテリーの予備を用意する方法もあります。
まとめ:カタログ値は鵜呑みにせず「×0.75」で考える
- 電動バイクのカタログ航続は30km/h定地走行の理想値。実走はその7〜8割
- 体重・気温(冬)・走行モード・バッテリー劣化で短くなる
- 選ぶときは往復距離 < カタログ×0.7を目安に、冬と劣化も見込んで余裕を持つ
モデルごとの航続比較は電動バイクおすすめ5選、選び方の全体像は電動バイク完全ガイド、充電環境は集合住宅の充電問題へどうぞ。


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